反り腰の原因と対策
姿勢の悩みに多い「反り腰」は、その名の通り腰の部分が大きく反ったように見える不良姿勢です。
当記事では、反り腰に関する基礎知識と対策について解説します。
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目次
反り腰とは
反り腰は腰椎が前弯している姿勢のことで、ようするに腰が大きく反ってしまっている状態を指します。
背骨は24個の頚椎で構成されており、もっとも下側の5つが「腰椎(第1腰椎〜第5腰椎)」です。腰椎はもともと緩やかに前弯していますが、そのカーブが強くなりすぎると、反り腰と呼ばれます。
反り腰の条件は、簡単にいえば骨盤が前に傾いていること。骨盤が前傾することにより、結果的に腰椎部分のカーブが大きくなり、相対的にヒップが後ろに出るような見た目になります。性別で括れるものではありませんが、日本では一般的に女性に多く見られる姿勢です。
良い姿勢は、背中からお尻にかけて綺麗なS字カーブが描かれており、そのカーブによるクッション作用が体にかかる重力を分散して支える助けになっています。
一方、腰の部分のカーブが大きいとクッションのバランスが崩れ、体への負荷を分散しにくくなります。そうなると体へと余計な負荷がかかり、反り腰特有の不調に繋がっていくのです。
反り腰の関係する不良姿勢
もう少し専門的な分類をすると、反り腰は下記の不良姿勢に関係します。
ロードシスは背筋が綺麗に伸びており、腰にだけ不良がある状態。カイホロードシスは、猫背と反り腰の両方に該当する姿勢です。
その他姿勢の分類については、下記の記事もご参考ください。
反り腰が引き起こす不調
反り腰になると、主に下記のような不調を感じることになります。
腰まわりの不調
反り腰の方は、腰まわりに不調を感じる方が多くいらっしゃいます。腰まわりに余計な負荷がかかることで、違和感を感じたり、痛みを感じたりする不調があらわれます。
スタイルの崩れ
反り腰は、お腹まわりとお尻まわり(もも裏)のスタイル崩れに繋がることも多い姿勢です。
骨盤が前傾することで、極端にいえばお尻が突き出たような見た目になります。するともも裏の筋肉であるハムストリングスが伸長し、結果的にたるみが生じる可能性があります。また反った腰をお腹側の筋肉が抑えきれなければ、お腹まわりもぽっこりと出て見える可能性があります。
肩こり
反り腰の方は、慢性的な肩こりや首こり、背中の張りを感じることもあります。
反り腰の状態だと、お腹と比べて背中側の筋肉が張っています。背骨は腰から首まで繋がっていますから、その緊張は肩周りにも影響し、肩こりなどの不調に繋がっていきます。
反り腰の原因
反り腰のもとは「骨盤の前傾」ですが、なぜそれが起こるのかというと、運動不足による筋力バランスの崩れや増量、あるいは生活習慣が原因となります。
具体的には、以下のようなことに気をつけると良いでしょう。
運動不足
反り腰は、根本的にはお腹の筋肉が弱く、背中の筋肉が強く張ることで起きます。
お腹は意識して使わなければ鍛えるのが難しい筋肉ですから、運動不足になるとお腹まわりの筋力が自然と弱まり、相対的に背中側の筋肉が張る傾向にあります。
そうなると反り腰につながり、結果的にスタイル崩れなどを引き起こすことになります。
お腹まわりの増量
体重の増量も、反り腰の原因になることがあります。
これは食べ過ぎなどで太った場合だけでなく、女性が妊娠した場合なども同様です。お腹が重くなっていると、その姿勢をカバーしようとして、自然と腰が反った体勢になります。
その状態が続くと、そのまま反り腰が常態化してしまうことがあります。
つまさき重心による歩行
ヒールなどの高い靴を履くと、つまさきに重心をかけながら歩くことになります。すると体は自然と前に傾きますから、正常な姿勢になろうとしたときに、腰から反った体勢になってしまうことがあります。
そういった姿勢で歩くことが多くなると、やはり反り腰の原因になります。
座り姿勢の悪さ
デスクワークなどで長時間座ることが多く、その際の姿勢が悪ければ、反り腰になったり、あるいはもともと反り腰の方がより悪化させてしまったりします。
椅子に座るときは「骨盤を立てた座り方」が理想とされていますが、一方で骨盤が前傾した姿勢で座ることが多くなると、反り腰を助長することに繋がります。
反り腰への対策
反り腰対策として、筋肉を鍛える、筋肉をストレッチする、生活習慣を改善するという3パターンがあります。
前方腹筋とハムストリングスを鍛える
弱っている筋肉を鍛えることで、筋力バランスが整い、反り腰の対策となる場合があります。とくに弱っている傾向にあるのが、腹筋とハムストリングスです。
前側の腹筋を鍛えるには、腹直筋にダイレクトに効くクランチが定番です。
クランチのやり方
- 仰向けの状態になり、足を90度に上げ手を頭の後ろで組む
- 脇をしめておへそを覗き込み、息を吐きながら腰を丸めて上体を上げる
- 上げ終わったら、ゆっくりと頭が地面につくぎりぎりまで下ろす
このとき完全に戻りきらないように注意する- 5回ほどを目標として、3セット繰り返す
またハムストリングスをピンポイントで鍛える簡単なメニューとしては、スタンディングレッグカールがあります。
スタンディングレッグカールのやり方
- 両手を壁につける
- かかとをお尻に近づけるように膝を曲げる
- 床につく寸前までつま先を下ろす
- 足を変えておこない、20回を3セットほど繰り返す
腸腰筋のストレッチをする
緊張している筋肉をストレッチして伸ばすことも、反り腰の対策として有効な場合があります。腰まわりにある「腸腰筋」のストレッチを取り入れると良いでしょう。
腸腰筋ストレッチのやり方
- 仰向けに寝る
- 片膝を曲げ、手でお腹側に引き寄せて20秒ほどキープ
- 反対側の脚も同様におこない、3セットほど繰り返す
立ち方・座り方を見直す
反り腰の対策としては、筋肉のバランスを整えたうえで、立ち方など日常的な動作を都度見直していくことが大切です。
まず立ち方としては、「頭が上から吊られている意識でピンと立つ」のがコツです。お腹に力を入れて、腰が反らないように気をつけて立ちましょう。
座るときも同様で、腹圧をいれて骨盤を立てて座り、腰が反らないように気をつけてみてください。
反り腰解消は生活習慣の見直しから
反り腰は体重の増加や運動不足、普段の歩き方などが原因になりやすい姿勢です。生活習慣を見直すことで予防や対策になりますから、まずは日常生活を振り返ってみてはいかがでしょうか。
ただし本格的な解消を目指す場合は、専門家に相談することをおすすめします。ジムトレーナーや治療院の先生に相談しながら、不調の解消を目指していってください。